【新卒採用設計】自社に合う学生とは?採用ターゲットの見直し方
採用計画の重要な要素の1つである採用ターゲット。 母集団形成や学生のミスマッチを防ぐためにも、自社にあった採用設計ができているか改めて見直してみましょう! 今回の記事では採用ターゲットの見直し方法や、他社の事例をご紹介いたします!
こんにちは!type就活事務局です。
23卒向け採用活動も終わりに近づき、本格的に次年度の採用計画を立てる時期になってまいりました。母集団形成の手法から選考フローの見直し、フォローアップ施策の検討など、様々な検討事項があると思います。
採用計画における検討事項として重要な要素の1つに「採用ターゲット」があげられます。
採用ターゲットとは名前の通り採用活動の対象となる学生群のことであり、全ての採用計画の基本となるものです。
採用活動を通してこのような悩みを抱えたことはありませんか?
・学生とのミスマッチが起きる
・内定承諾率が低い
・早期退職
・学生が採用イベントや選考に集まらない
これらの問題は、実は採用ターゲットが自社に合っていないことが原因の1つでもあります。
今回は採用ターゲットの決め方から、実際に新卒採用を行っている企業のターゲット例をご紹介します。
採用ターゲットを見直すことで、自社に合った学生をしっかり集めていきましょう!
なぜ採用ターゲットを適切に設定する必要があるのか
企業が成長する要素は様々ありますが、その中の1つに企業で働く「人」が挙げられます。
例えば、コンサルティングファームやSIerでは人が資産となって重要な役割を果たしています。このような企業では社員一人ひとりが企業の成長に直結しているため、「採用活動の成功=企業の成長」に大きく影響します
例えば、PwC Japanは昨年2021年10月に営業総収益が2%増加し、450億ドルになったことを発表しました。その背景には世界156か国に及ぶPwCグループでの「90,273人の新規採用」があります。PwC Japanの新卒採用で言えば、コンサルタント職だけでも毎年200人の学生を採用しており、重要な経営戦略に位置付けられていることがわかります。
※出典:PwC Japan 発表資料
つまり、採用が出来ればそれでよい、というわけではなく、あくまで入社後に企業で活躍する人材を採用することが大切であり、その観点でも、採用ターゲットを適切に設定することが何よりも重要になるのです。
採用ターゲットとは何か?
採用活動において「採用ターゲット」と呼ばれる人材要件があります。企業によっては「求める人物像」という言い方をしていたり、両方を分けて使用している場合もあります。企業によっても意味や使われ方に多少の違いがあることから、今回type就活では以下の様に定義しました。
求める人物像:企業が採用したいソフト面での社員の理想像 採用ターゲット:採用するにあたって最低限必要なハード面の要素 |
「求める人物像」はその名の通り企業が求めている社員像を指しますが、その中には素直・真面目・協調性がある…といったソフト面の要素も多く含まれます。しかしこれらの要素は明確な判断基準が設定しにくいため、これだけでは採用活動が逆に難しくなってしまいます。
そこでハードデータをもとに「採用ターゲット」の設定をしましょう。
現在活躍している社員、求めている人物が保持している資格や必要な経験、大学や学部、所属している部活動などをもとに、最低限の要素を洗い出し、要件を確定させます。
さらに採用ターゲットはコアターゲットとサブターゲットに分類することが可能です。
コアターゲット:履歴書や経歴から、明らかにスキルが採用要件を満たす学生 サブターゲット:コアターゲットとは異なるが、人間性や特定の経験があれば 採用の可能性がある学生 |
つまり、採用ターゲットを設定する際には自社に合いそうな学生の特徴をイメージするだけではなく、具体的に必要となるスキルや人柄について細かく基準を定めることが重要になります。
採用ターゲットはどのように設定する?
まずは採用したい社員の理想像である「企業の求める人物像」を設定する必要があります。
■企業の求める人物像の決め方
ステップ① 既に自社で働く社員の共通点を洗い出す
今現在企業で働いている社員は「企業が求めていた人物」であると考えることができます。実際働く社員に共通する「仕事への価値観」や「仕事に対する意識」などをしっかり洗い出すことで、企業が求める人物像を言語化することができます。
ステップ② 現場で求められている人物像をヒアリングする
採用ターゲットは、入社後企業に貢献するための要素の1つになりますので、実際に現場で働く社員に、新入社員に求める能力や、働く環境に合う人の特徴をヒアリングすることで、現場で活躍できるような、リアルな求める人物像を知ることができます。
例えば、新しく事業展開を検討している場合、スキル面では営業力・コミュニケーション力・分析力・情報収集力等が求められます。また、人間性面では高いモチベーション・リーダーシップや積極性が求められます。
参考:リブ・コンサルティング 新規事業開発に必要なスキルとは
https://www.libcon.co.jp/column/skill-new-business-dev/
事業において現場で求められているスキルや人柄は、実際に働く社員でなければ分からないこともあります。現場社員が求めている人物像をヒアリングしてまとめることで、必要なスキルや人間性などのソフト面を具体的に決めることができます。
■採用ターゲットの決め方
求める人物像が決まったら、採用ターゲットの設定に移ります。
求めている人物が持っていそうな経歴や資格など、明確に言語化できるハード面の要素を出来るだけ細かく抽出していきます。
ステップ① 社員をペルソナに立てて考える
ペルソナとはもともとマーケティングにおいて活用されている概念であり、特定の商品やサービスを利用するユーザー像のことを指します。今回は、入社後に活躍している社員を例にあげ、ペルソナを作成してみます。
<<営業3年目 Aさん>> ・25歳 ・男性 ・私立大学理系出身 ・幼少期からサッカーを経験し、大会優勝のために努力し続けていた ・大学では部活と研究、アルバイトを両立していた ・初対面の人でも積極的に声をかけにいく ・気遣いができ後輩の面倒見もいい |
社内で活躍しているAさんの人物像を深掘りすると、Aさんが持っているソフト面の人間性やスキル(気遣いができる、人見知りしない)といった要素に加え、それらの要素の背景となりうるハード面の経歴(理系、部活経験者)なども分かります。
このように特定社員の人物像を詳細に整理することで、採用ターゲットに求められる項目が決めやすくなります。
ステップ② 学生について理解する
学生の就活の状況や傾向も年々変化していますので、今の学生がどのように就活しているのかを知る必要があります。
大学ごとの学生の活動傾向やビジネス・働くことへの関心などは、type就活ではもちろん、他媒体でも調査結果が用意されていることが多いため、そういったデータを参考にすることで理解することも可能です。
その他にも学生と直接話さないとわからないことは多くありますが、活躍しそうだと感じた学生に共通する経歴などを参考にすることもできます。
採用ターゲットの設定は採用活動の基礎であり、採用における様々な問題と繋がっている場合があります。採用活動での滞りを感じた際には、ターゲットの設定部分から振り返ってみると発見があるかもしれません。
他社事例ー求める人物像、採用ターゲット、選考フロー
最後に新卒採用を実施している企業を他社事例として2社ご紹介します。
採用活動では求める人物像や採用ターゲットを定めて終わりではなく、ターゲットとなる学生を採用するための選考をすることが大切になります。各社の求める人物層・採用ターゲットの違い、選考フローにどのように反映されているのかを確認し、採用設計の参考にしてください。
※採用ターゲットは採用実績の多い順に大学を記載、選考フローは学生からの体験記から構成されたものであり、現状と一部相違がある場合があります。
①コンサルティング業界:アクセンチュア
【求める人物像】
「アクセンチュアによって自らを進化させ、予測不可能な未来のアクセンチュアを作ることが出来るDNA」
未来のアクセンチュアに必要なDNAー
・背伸びをしてでも目標へ手を伸ばさずにはいられない
・チャレンジに、手加減をしない
・自分も会社も世の中までも、変えたいと望む
・常に次のステージを見据え、自らの開拓に貪欲である
・タフな状況も、先頭に立ち楽しめる情熱がある
・あるべき姿を追求するためには、立場や関係性を超えた主張を厭わない
・信念に基づき、主張し、実際にやり遂げる
・チームワークの可能性を信じる
・多様な文化、相違する意見の中にこそ宝石があると知っている
・常に誠実さを失わず、言行一致の気概がある
出展:アクセンチュアHP採用情報
https://www.accenture.com/jp-ja/careers/local/students-graduates-dna
【大学別採用人数】
慶應義塾大学 70人
早稲田大学 64人
東京大学 44人
京都大学 28人
大阪大学 23人
北海道大学 20人
明治大学 16人
東京工業大学 15人
上智大学 15人
同志社大学 15人
出展:大学通信 2021年 企業ごとの大学別就職者数 アクセンチュア
https://univ-online.com/rank3/y2021/service/r1930382/
【選考フロー】
①エントリーシート
・どのような軸で就職活動を行っていますか
・「未来のアクセンチュアに必要なDNA」のうち共感できることを1つ選んでください
・アクセンチュアを「社員一人ひとりが夢を実現するプラットフォーム」と捉えたとき、あなたはアクセンチュアで何を実現したいですか
②ウェブテスト
③グループディスカッション
④面接
・ケース面接
・人物面接
出展:外資就活【3分選考対策】アクセンチュア(ビジネスコンサルタント職・ソリューション・エンジニア職、デジタルコンサルタント・デジタルアーキテクト職)の本選考対策まとめ
②商社業界:三菱商事
【求める人物像】
三菱商事は経営人材が育つ会社を目指している
経営人材:経営マインドをもって事業価値向上にコミットする人材
経営人材に大切な3つの能力
①内外環境の変化を想定し先を見据えた戦略を練り上げる「構想力」
②人と組織を牽引し最後までやり抜く「実行力」
③謙虚さと誠実さを持って周囲から信頼される「高い倫理観」
出展:三菱商事HP 新卒採用
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/recruit/newgraduate/faq.html
【採用ターゲット】
東京大学 23人
早稲田大学 21人
慶應義塾大学 18人
京都大学 11人
一橋大学 7人
東京外語大学 4人
大阪大学 4人
青森中央学院大学 3人
名古屋大学 2人
神戸大学 2人
出展:大学通信 2021年企業ごとの大学就職者数 三菱商事
https://univ-online.com/rank3/y2021/trading-company/r1930247/
【選考フロー】
①ES
・チャレンジングな目標を定め、その達成のために諦めずに取り組んだ経験について、教えてください。結果の成否によらず、あなたが工夫・努力したことや、取り組みのプロセス等、具体的に記してください
・あなたが三菱商事で成し遂げたい夢、または手掛けてみたいビジネスについて、教えてください。
②ウェブテスト
③人物面接
④筆記試験
・推論問題
・小論文
⑤面接
出展:外資就活【3分選考対策】三菱商事の本選考対策まとめ
https://gaishishukatsu.com/company/37/selection
まとめ
今回は採用ターゲットについて、設計方法や見直し方、そして他社事例をご紹介しました。
採用ターゲットは経験や資格などのハード面の要素から定められた候補者群であり、企業が求める理想の社員がいる確率が高い母集団となります。
そのため、採用ターゲットが適切に設定されていると、効率的に採用活動を進めることができるのです。
採用活動に関して問題を抱えている場合は、是非一度採用ターゲットの見直しを検討することも1つの手となりますので、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。