こんにちは、type就活事務局です。
就活生向けのイベントの企画・運営をする中で、「就活生と採用側の認識にギャップがあること」に気が付くことがあります。
例えば、選考の目的や選考で重視するポイント等、企業や人事側と学生側では認識が異なっていることが多いです。
そこで、本日は学生目線の企業選びについて紹介いたします。
アンケートと調査結果に基づき、24卒学生が"今"企業選びにおいて『重視していること』と『もっと知りたいこと』について紐解きます
上記の内容を説明会やインターンシップに盛り込むことで、学生の志望度を高めることや他社との差別化を図ることが可能となります。
まずは24卒学生の就活軸の動向と新たな傾向をご紹介した後、説明会やインターンに盛り込むべきポイントを解説します。
アンケート対象
早期から動く24卒学生を対象としたイベント『ES選考対策講座』『インターン面接対策講座』(2022年2-4月開催)に参加した24卒学生。
合計911名。
アンケートでは、『企業を選ぶ際に最も重視しているポイント』として、「仕事内容・社風・福利厚生・事業内容・社員の魅力・給料・会社の成長性・勤務地・業界・社会貢献性・会社の規模・経営者の魅力・その他」の項目から1つ選択していただく形式で回答いただきました。
その結果、2-4月時点で24卒(n=911名)が企業を選ぶ際に最も重視しているポイントは下記図1の通りとなりました。
企業選びで最も重視するポイントとして『仕事内容』を選択した学生が最も多く、全体の約三割にものぼります。その理由について身近な24卒学生に伺ったところ、下記のような回答が得られました。
■納得して長期的に働きたいため、本当にやりたいと思う仕事内容かどうかを重視したい。(一橋大学・24卒)
■自分のやりたいことが見つかって、かつ転職力を付けられるというところで、幅広い分野をみながらある程度の専門性を身に付けられる仕事がしたい。(早稲田大学・24卒)
■自分の問題意識や知識を活かせる仕事内容であることを最も重視しています。
なぜなら、長く働くことになると思うので、自分が好きだったり、強く関心を持っていたり、適していたりするような仕事内容でないと続けるのが難しいのではないかと思っているからです。(一橋大学・24卒)
定年延長や共働き世帯増加といった社会的変化によって、男女ともに長く働くことが一般的となってきています。上記の通り、学生のリアルな声からも就業後に数十年働くことを見据えて、業務内容を重視して企業を選択する学生が多いと考えられます。
続いて全体の約2割の学生が最も重視するポイントとして『社風』を選択しました。『社員の魅力』も上位となっていることから、人的魅力を重視する学生も多いことが想定されます。
『社風』や『社員の魅力』は就業後の「働きやすさ」に直結するポイントでもあります。さらに、『福利厚生』と『給料』、『勤務地』を最も重視する学生が合計で全体の約2割にのぼることからも、「長く働くこと」を見据えてこれらのポイントを重視する24卒学生が多いと考えられます。長く働くためには「働きやすい環境」が必須であるため、ワークライフバランス的観点を重要視している学生が多いと予想されます。
昨年2-4月時点の23卒学生(n=915)が最も重視していたポイントとの比較を実施しました。結果は下記の通りとなります。
昨年2-4月時点における23卒と、今年2-4月における24卒が最も重視するポイントにおいて、大きな順位の差は見られませんでした。
しかし昨年よりも『仕事内容』を重視する学生が増加し、『社風』や『福利厚生』を重視する学生が減少していることが見受けられます。
原因として、環境の変化が考えられます。大学では2021年度後期から対面授業が増加し、昨年度と比較して大学生のリモート環境が減少しました。(※1)
就活自体をほぼ完全オンライン体制下で進めた23卒に対して、24卒学生は対面授業の実施再開に直面しました。対面とリモート環境双方を経験した24卒学生は、より柔軟な働き方を選択出来る環境を望むようになったと考えられます。
実際に、株式会社DYMが2022年3月に実施した調査結果によると、「入社する際に重視する項目」において「テレワークやリモートワークなど場所にとらわれない働き方」を243名が選択し、1位を獲得しています。(※2)
このように、24卒は就職活動・就業後における勤務環境や勤務形態をさらに重視するようになった可能性があります。
※1 参照:HNK NEWS WEB『大学の後期授業 7割以上対面は8割超 コロナ禍で学生支援進む』
※2 参照:株式会社DYM『~就活生対象 最新アンケート報告~ 学生が重視する項目の1位に「リモートワーク採用企業」【学生時代のリモート体験から就職活動の最重視項目に】』
その一方で、現時点で業界を定めている学生は少ない(※3)です。
今後夏のインターンシップ等を通じて業界を定める学生が多いことが予想されます。
※3 参照:type就活インターン生が管理するTwitterアカウント:@shu__keio, @shu__ut, @shu__newsにて実施したアンケート結果にもとづく
では、学生は何故『業務内容』を最も重視しているのでしょうか。
その要因には、社会的背景による『人生観』と『就職意識』の変化が挙げられます。
マイナビキャリアリサーチラボ(2021, 綿貫哲也)によると、この20年において
①社会課題の増加
②労働に対してポジティブなイメージを抱けない環境
③報酬を最優先せざるを得ない日本の経済事情
といった要因が、学生の就職意識の変化を引き起こしています。
参照:マイナビキャリアリサーチLab『この20年における「学生の就職観の変化」とその背景にあるもの』
さらに、定年延長や共働き世帯増加といった背景がある今、男女ともに企業で長く働くという価値観が一般化していると考えられます。実際に株式会社マイナビが23卒学生対象に実施した調査では、下記の内容が明らかになりました。
①専業主婦を希望する女子学生が8年前と比べ半減し全体の15%にも満たないこと
②「育児休業を取って積極的に子育てしたい」男子学生は7年連続増加し、全体の約6割を占めること
③「今のところ子供は欲しくない」が調査開始以来最高値に達したこと
参照:サポネット『2023年卒の就活生のライフスタイル調査、「今のところ子供は欲しくない」が調査開始以来最高』
ここからは、身近な24卒学生へのインタビュー結果をご紹介いたします。
「会社説明会やインターン説明会などで、”こういった内容をもっと知りたい”と感じたことはありますか?」と直接尋ねたところ、下記の回答が得られました。
■できるだけ具体的な職種別業務内容と採用方針。大体の人数、必要な資格、人材像等。(一橋大学)
■新卒に求めること、社員のその後のキャリア、入社後の具体的な仕事内容(東京大学)
■働きやすい環境づくりのためにどのような施策を行なっているのかが知りたいです。
男女とも働きやすい環境であることが大事だと思うので、必ずしも女性活躍のための施策でなくてもいいのですが、出産子育て介護と仕事の両立をどうすればいいのか、会社としてはどういう方針なのかは気になります。
施策を紹介している会社は、女性も社員として求められている&会社としても考えている、取り組んでいるということがわかるので、志望度が上がる気がします。(一橋大学)
具体的な業務内容や採用方針がもっと知りたかったという声や、ワーク・ライフ・バランスのための施策をもっと聞きたかったといった声をいただきました。
説明会で事業内容や提供サービス、カルチャーといった『自社の魅力』を必ず伝える企業は多い一方で、『新入社員が携わる業務内容』や『ワーク・ライフ・バランスの実現方法』といった『実際に入社した際の具体的な働き方』まで説明している企業はまだ少ないと考えられます。
特に『業務内容』は学生が企業選びの際に最も重視するポイントであるにもかかわらず、現場に携わったことがない学生にとっては最もイメージし難いポイントです。加えて、入社後に業務内容に関してギャップが生まれることは早期退職へと繋がる危険性もあります。
これらの実情を鑑みても、説明会において『実際に入社した際の具体的な働き方』を学生へ伝えることが重要であることがうかがえます。
今回の記事では、24卒学生が"今"企業選びにおいて『重視していること』と『もっと知りたいこと』に関して紹介しました。上記にもとづき、24卒学生の就活軸の動向と新たな傾向として3つのポイントを解説しました。
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加えて、今後の24卒採用において重要であると予測される観点を2つ紹介しました。
②『新入社員が携わる業務内容』や『ワーク・ライフ・バランスの実現方法』 |
上記内容から、24卒学生は「就業後に数十年働く」といった現実的な視点を持ち、企業を選択していることがうかがえます。
そのため、今後の説明会やインターンシップにおいて『実際に入社した際の具体的な働き方』や『ワーク・ライフ・バランスの実現方法』を詳細に学生へ伝えることで、学生の入社後に対するイメージを深めることが出来、他社との差別化を図ることが可能であると考えられます。
具体的な例として下記の内容が挙げられます。
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このような内容を企業説明会やインターン説明会に取り入れることで、学生の志望度が高まるだけでなく、入社後に業務内容とのギャップが発生することを防ぐことができます。さらに、将来的に勤務先満足度上昇や長期的就業にも繋がると考えられます。
今回の記事が、今後の採用活動において参考になりますと幸いです。